プラズマ乳酸菌の効果と免疫細胞活性化のしくみ
乳酸菌にはいろいろな種類があり、いまのところ26属400種以上が発見されています。人の腸内で見つかっているビフィズス菌の種類が10種類程度であることを考えると、乳酸菌の数はずいぶん多いように感じます。
ビフィズス菌や乳酸菌は「ラクトバチルス属・カゼイ種・シロタ株」のように、属・種・株という順で名称があらわされますが、同じ菌種でも菌株がちがえば、効能は違うと考えられています。
そのため、各医薬品メーカーや食品メーカーなどが、こぞって乳酸菌を研究して、独自の菌株を見つけたり、それを配合したサプリメントやヨーグルトをつくったりしているのです。
そんな中、最近とても注目されているのが「プラズマ乳酸菌」です。ここでは、プラズマ乳酸菌とは何なのか、摂取することでどのような効果があるのか、ということを具体的に説明します。
プラズマ乳酸菌ってなに?
プラズマ乳酸菌は、正式名称を「ラクトコッカス・ラクティス・JCM5805」といいます。ラクトコッカス属というのは代表的な善玉菌のひとつですが、そのラクティス種の、JCM5805という菌株であるということを意味しています。
キリンと小岩井乳業が共同開発をしている乳酸菌であり、いままでに多数の学会や学術誌などで成果が発表されています。
というわけで、以下のキリンのサイトを読みこめば、プラズマ乳酸菌についてほとんどのことを知ることができると思います。わたしもここで勉強しました(笑)。
参考 : プラズマ乳酸菌研究レポート | キリン
若手俳優を使ったテレビCMも有名で、キャッチフレーズは「免疫の根本を強くする」「まもるチカラ」です。
プラズマ乳酸菌だけでなく、ほかの乳酸菌にもその機能性をあらわす言葉がつけられている場合が多いですが、こういうところはちょっとおもしろいですよね。
プラズマ乳酸菌の効果
プラズマ乳酸菌のいままでの研究成果には、以下のものがあります。
- 風邪・インフルエンザ様症状の軽減
- ロタウイルス感染症状の緩和
- アンチエイジングと寿命延長の効果
このなかで人間を対象にした試験がおこなわれたのは、最初の「風邪・インフルエンザ様症状の軽減」についてだけで、ほかの2つはマウスによる試験で確認された効果です。
また、風邪に対する効果についても「のどの痛み」「せき」などの症状の軽減には有意差が見られましたが、罹患率(病気にかかった割合)については有意差はなかったとのことです。
※ 有意差とは、統計的に見て効果があると判断できる差のことです。つまり今回の場合は、風邪やインフルエンザのような症状にかかるリスクについては、ハッキリと効果が確認できなかったという意味になります。
免疫の根本を強くするってなに?
プラズマ乳酸菌のキャッチフレーズは「免疫の根本を強くする」ですが、それはどういう意味なのでしょうか。
ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌には、その菌体成分が腸内の免疫細胞と結合することで、免疫細胞を活性化する作用があります。カンタンに言えば、善玉菌を摂ると免疫力が上がる、ということです。
今までにも、いろいろな善玉菌による免疫力向上の効果が確認されてきましたが、プラズマ乳酸菌はほかの乳酸菌などと違い「免疫細胞の司令塔」を活性化することができる、ということがわかったのです。
その司令塔とは「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」。
この樹状細胞を活性化することで、免疫細胞であるナチュラル・キラー細胞(NK細胞)、キラーT細胞、B細胞などによって形成されている免疫システムそのものが活性化されるという仕組みです。
樹状細胞とは
樹状細胞(DC)とは、免疫システムにおける司令塔、司令官の役割を担っている細胞です。
抗原提示細胞といって、体内に侵入したウイルスや病原菌を食べて、その成分をT細胞に提示します。それによってT細胞はB細胞に免疫グロブリン(抗体)の産生をうながして、抗体がつくられます。
人間のカラダには「自然免疫」と「獲得免疫」があり、自然免疫には外敵を素早く排除するNK細胞やマクロファージなど、獲得免疫には抗体をつくるグループやキラーT細胞などがあります。
自然免疫は常に働いており、外敵やガン細胞を食べたり排除したりします。それを突破されたときに動くのが獲得免疫で、抗原(ウイルスなど)に対してより有効な抗体をつくり、強力に排除します。
その抗体の産生に大きくかかわっているのが、樹状細胞です。抗原を取りこんで、その特徴をT細胞に伝えて(抗原提示)、それによって有効な抗体産生を誘導するのです。
というわけで、免疫システムのカナメである樹状細胞を活性化するプラズマ乳酸菌は、まさに「免疫の根本を強くする」乳酸菌であると言えるのです。
プラズマ乳酸菌を含むヨーグルト
プラズマ乳酸菌を含む飲料やヨーグルトについては、キリンのサイトに商品一覧のページがあります。以下のページの「まもるチカラ プラズマ乳酸菌」をクリック。
参考 : キリンの健康プロジェクト
「キリン まもるチカラのサプリ」シリーズや、「キリン まもるチカラのみず」については、乳酸菌の数も多いものの、炭水化物(糖質)も多く含まれているので、あまりオススメはできません。
小岩井乳業から販売されている「プラズマ乳酸菌ヨーグルト」シリーズも、同じく炭水化物が意外に多く含まれています。できれば甘味を加えていない商品を出してほしいですが、商品化は難しいのでしょうか。
唯一オススメできるのは、協和発酵バイオから販売されている「まもるチカラの乳酸菌 プラズマ乳酸菌サプリ」です。1日の目安量(4粒)あたりにプラズマ乳酸菌50mgが含まれており、炭水化物は0.9g、カロリーは2.5kcalです。
さらに、善玉菌の栄養源であるキシロオリゴ糖も500mg配合されています。オリゴ糖は人間の持つ酵素ではほとんど分解できず、そのまま大腸に届いてビフィズス菌のエサになります。
参考 : まもるチカラの乳酸菌(プラズマ乳酸菌配合サプリ)| 協和発酵バイオ
ただ、50mgというのが何億個に相当するのかわかりませんので、こんど電話で問い合わせてみようと思います。そのような基本的なことはウェブサイト上に記載してほしいですが、どうやら記載されていないようです※。
プラズマ乳酸菌は、キリンと小岩井乳業による共同開発がおこなわれている乳酸菌なので、キリンと小岩井、もしくはそのグループ企業からしか商品は出てこないと思います。
もしプラズマ乳酸菌の商品についての最新情報をチェックしたい場合は、2社のホームページを確認するか、FacebookやTwitterのアカウントをフォローしておくと良いかもしれません。
※ 協和発酵バイオに問い合わせたところ、4粒あたりに1500億個のプラズマ乳酸菌が含まれているとのことでした。死菌ですが、生菌と効果は変わらないとも言っていました。かなりの数ですね。